突発性難聴
突発性難聴
突発性難聴は、突然、左右の耳の一方(ごくまれに両方)の聞こえが悪くなる疾患です。全く聞こえなくなる重度なものから、耳が詰まった感じ(耳閉感)のみの軽度なものまでさまざまなタイプがあります。通常、この症状はわずか数時間から数日で現れ、原因が特定されない場合が多いです。突発性難聴は、内耳や聴神経に問題が生じた結果、音が十分に伝達されなくなることによって引き起こされます。
難聴は大きく次の2つに分類されます。
【伝音性難聴】
音を伝える部位に異常が起こる難聴を指します。耳の鼓膜から奥の部位「中耳」で異変が起こりやすく、難聴原因が特定しやすいのが特徴です。
【感音性難聴】
集められた音を脳に伝えるまでの機能に異常が起こる難聴を指します。耳の一番奥の部位「内耳」や聴神経、大脳で異常が起こりやすいとされています。聞こえが悪くなる原因は不明のものが多いです。
突発性難聴は「感音難聴」の一つです。
感音難聴の多くは聴力の回復が困難ですが、突発性難聴の場合には早期に適切な治療を行うと、聴力の回復が期待できる疾患です。
突発性難聴の主な特徴には以下が含まれます
・急激な聴力喪失
聴力の急激な低下が特徴であり、一般的には一耳に影響しますが、両耳に影響を及ぼすこともあります。
・原因不明の発症
多くの場合、突発性難聴の原因は不明です。ただし、感染症、血管障害、自己免疫疾患、外傷、腫瘍、ストレスなどが関与する可能性があります。
・併存する症状
耳鳴り(耳の鳴り)、めまい、耳の詰まり感など、聴力の喪失と共に他の症状が現れることがあります。
・早期治療の重要性
突発性難聴は早期に治療することが重要です。西洋医学ではステロイド薬の内服や注射、血管拡張薬、酸素療法などが一般的な治療法として用いられます。ただし、治療が遅れると回復が難しくなることがあります。
突発性難聴はまれな症状ですが、早期の医療診断と治療が重要です。症状が現れた場合、直ちに専門の医療機関を受診することが勧められます。
突発性難聴の原因
突発性難聴の原因は一般的には不明確であり、症状が急激に現れることが特徴です。ただし、いくつかの潜在的な原因が議論されています。
以下は、突発性難聴の可能性のある原因のいくつかです。
・ウイルス感染
ウイルス感染が突発性難聴の原因の一つとされています。特にヘルペスウイルスや風疹ウイルスが関連している可能性があります。
・循環障害
聴覚器官に対する血流の減少や阻害が突発性難聴を引き起こす可能性があります。これは血管の異常や血栓形成が関与することがあります。
・自己免疫疾患
免疫系が体の自分自身の組織を攻撃する自己免疫疾患が、突発性難聴の原因となることがあります。
・神経系の障害
聴神経や脳に影響を及ぼす神経系の障害が突発性難聴を引き起こすことがあります。
・遺伝的因子
一部の突発性難聴は遺伝的な要因によるものとされています。家族歴がある場合、遺伝的な影響を考慮することがあります。
・外傷やストレス
耳に対する外傷や強いストレスが突発性難聴の誘因となることがあります。
突発性難聴の原因は様々であり、症例ごとに異なる可能性があります。しかし、ほとんどの場合、具体的な原因は不明です。迅速かつ適切な医療の提供が重要であり、診断は耳鼻咽喉科医や神経科医などの専門家によって行われます。
日常での注意点
突発性難聴は原因がはっきりしていませんが、生活習慣の乱れやストレスも影響しているとされていますので、できるだけ安静にして、ストレスを軽減していくことが大切です。 また大きな音を聴かないようにする、飛行機やダイビングのような急激な気圧の変化を避けるなど、耳へ負担をかけないようにすることも重要です。
鍼灸治療
東洋医学的な原因としては、怒りやストレス等により「気」の流れが悪くなったり、飲食の不摂生や疲労により脾胃を損傷して「水」の流れが悪くなったり、脾胃虚弱のため「気血」の生成が悪くなり頭部に栄養できなくなったり、老化等により腎精が不足して頭部の栄養が不足すると起こります。
鍼灸が突発性難聴に効果がある理由は、鍼灸療法が体内のエネルギー(気・血・水)の流れを調整し、神経系や血液循環などの生理的機能を改善するため、めまい症状の改善・軽減されます。
・神経調整
鍼灸は、神経系の調整に役立つとされています。突発性難聴の多くは内耳や脳の神経信号の異常に関連しており、鍼灸が神経系のバランスを取り戻す手助けをすることができます。
・血液循環の改善
鍼灸によって、局所の血液循環が改善され、酸素や栄養が組織に適切に供給されるようになる可能性があります。これにより、内耳の機能や脳の酸素供給が改善され、突発性難聴の改善・軽減につながります。
・ストレス軽減
めまいはストレスや不安によって悪化することがあります。鍼灸はリラクゼーション効果をもたらし自律神経の調整や、ストレスホルモンの分泌を抑制するため、突発性難聴の改善・軽減につながります。
・全身の調和
鍼灸は、体のエネルギー(気または気血と呼ばれることもあります)の流れを調整し、全身の調和を促進するとされています。この調和が突発性難聴の改善・軽減につながります。
鍼灸療法は個人によって効果は異なります。症状や個人の状態に合わせた治療計画を立てることが重要です。
鍼灸治療は全身症状の改善を目標としています。体力を回復し、気血の循環をよくします。